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カレーきびだんご?

カレー

今日の昼食は、田舎に出かけて自然食を売りにしているカレー屋を訪れた。小さな店内は薪ストーブで暖められ、なかなか快適な空間だった。周りの景色に不似合いなインド音楽が流れていたのに違和感を覚えたが、やがて気にならなくなった。

私は普段はあまりカレーを食べないのだが、かつてロンドンで暮らしていた頃は毎週のように食べていた。ロンドンにはインド人の移民が多く、インド料理店には不自由しない。また価格も手頃なため、ついつい立ち寄ってしまう。

さて、この店のカレーだが、今まで食べた事もない独特なものであった。皿の上にはご飯とカレー粉で煮たか炒めたかよくわからない野菜類が並んでいて、その横にはほぼ無色透明な豆のスープが置いてあった。店の主人いわく、上からスープを掛けて、あとは大胆に混ぜて食べよとのことだ。よくわからないが、言う通りにして食べてみた。

不思議な味で上手く評価できないが、美味しいといえば美味しくもあり、別に不満はないのだが、今ひとつカレーという気がしなかった。食べ終わった皿の上にはほぼ無色透明の豆スープの汁が残っているだけで、いわゆるカレーの色ではない。おなじみの黄色でもなければ、白でも緑でもなく無色透明である。私が普段から描いているカレーのイメージとは随分かけ離れたカレーであった。

恐らく、私が知らないだけで、カレーのレシピはおびただしい数があるのだろう。ロンドンで初めてインド人の作ったカレーを食べたときも、日本でそれまで食べていたカレーとの違いに随分驚いたものだが、どうやらこの料理、相当奥が深そうだ。そのうち、徹底的に調べてみる必要がありそうだな。そういう意味では、私のカレーに対する好奇心を呼び覚ましてくれた素敵な昼食だったと言えるだろう。

というわけで、久しぶりにヘルシーな有機無農薬野菜のカレーを味わったわけだが、ふと、カレーをきびだんごに応用できないかというアイデアが頭をよぎった。そうなのだ。岡山にはチョコレートきびだんごやフルーツきびだんご、さらには黒豆きびだんごやラムネきびだんごまで存在するが、カレーきびだんごはまだなかったと思う。なぜだ。どうして誰もカレーきびだんごを作らないのだ。美味しいかどうかは別として少なくともウケるに違いない。この日記を読んでいる業界の方には、是非勇気を出してトライしてもらいたい。

ちなみに、カレー粉をふりかけるだけなら、きな粉きびだんごの要領ですぐにでも可能だ。なんなら、きな粉と色がそっくりの辛いカレー粉を使って激辛きびだんごを作り、これをきな粉きびだんごにひとつだけ混ぜて、ロシアンきびだんごというのもアリだろう。運悪く激辛を口にした人はハズレというわけだ。

いやいや、どうせやるなら、心から美味いと感じるカレーきびだんごにした方がいいな。そうすると、カレー粉を振りかけるだけという安易な方法ではダメだ。やはり、原材料を練り込む段階からカレー味を極めねばなるまい。問題は甘さと辛さのシンクロ率だ。残念ながら私は適格者ではないため、このプロジェクトには貢献できないが、我がきびだんご王国が誇る特務機関NERFのゲンドー博士なら適格者を見つけてくるかもしれない。

いずれにせよ、カレーきびだんごについて、新しい情報が入り次第報告しよう。まあ、あまり期待はできそうもないが。

 

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きびだんごは何でできている?

きびだんご

きびだんごは何でできているのか?

これは岡山を訪れる観光客からよく受ける質問だ。私は静かに目を閉じ、呼吸を整え、やがて目を見開いておもむろに答える。

愛だ。他に何があるというのだ。

しかし、この答えに満足して立ち去った観光客はいまだかつてひとりもいない。で、仕方がないので原材料などの説明をする羽目になる。

歴史的なことを言えば、きびだんごは多分おむすびのようなものだったのではないかと思う。きびやあわやひえ、あるいはもち米などでつくった団子だったのではないだろうか。とにかく、これから鬼退治に出かけるわけだから、戦場での兵糧である。決して甘いお菓子などではあるはずがない。腹が減っては戦にならぬというが、要するに腹ごしらえになるような食べ物だったと考えるのが自然だ。

現在、岡山で販売されているお土産のきびだんごは桃太郎伝説にあやかったお菓子で、その原材料の多くは水飴が占めている。言うまでもなく水飴は夏は柔らかく、冬は固い。業者は一斗缶で水飴を仕入れるが、真冬にこの一斗缶の水飴の中に手を突っ込むと下手をすると突き指をするほどの堅さである。これを釜の中で手間ひまかけて練ってゆくわけだ。他にもいろいろと材料を入れてゆくわけだが、きびだんごの食感を決めている大きな要因はこの水飴にある。質の高い水飴を用い、とことん練り込めば柔らかくて後味のさっぱりしたきびだんごになるのだ。

どれくらい練り込むかというと、練り込みにつかうヘラを持ち上げた時、そのヘラから落ちてくる原材料がまるで滝から落ちてくる川の水のごとくサラサラになるまで練り込むのである。初めて見た時は私も驚いた。あれほど固い水飴やらざらざらした砂糖やらが最後には川を流れる水のようになるとは。そこまで練り込むにはいったいどれだけの時間と労力がかかるのだろう。きびだんご作りは実に根気のいる仕事なのだ。

最近は機械も導入されているようだが、機械だけでは美味しいきびだんごにはならない。機械を補助的に使いながら、最後はやっぱり人の手で練り込んでゆかねばならないのだ。きびだんご王国で推薦しているきびだんごはそういう手間ひまかけたきびだんごである。

みなさんもいろいろときびだんごを食べ比べてみてほしい。徹底的に練り込んだきびだんごは柔らかく、そうでないきびだんごは固い。私は柔らかさをきびだんごを判定するひとつの基準にしている。

売店に行けば、チョコ入りのものやフルーツピューレ入りのものなど、これでもかというくらい種類があるが、まずは基本形ともいえるプレーンなきびだんごを味わっていただきたい。

 

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きびだんごの古い友人

その日の朝、赤いバラの花束を抱えた私は、ある邸宅の前に立っていた。海が見渡せる小高い丘の上に立つ白亜の洋館だ。広い庭の花壇は手入れが行き届いているようだった。とても閑静な住宅街で、私が鳴らす呼び鈴の音以外何も聞こえないと思われた。少し躊躇した後、私は努めてさりげなく静寂を破った。

私が誰かを訪ねるといつもそうであるように時間が過ぎていった。

暫くしてドアが開くと、若くて魅力的な女性が目に飛び込んできた。透き通った情熱的な瞳、腰まで届く長い髪、長身が映える白いロングのドレス。そして小悪魔のような唇には、きびだんごが嬉しそうにくわえられていた。そうだ、今日はきびだんごの商談に来たのだ。わがきびだんご王国の経済はきびだんごの売り上げに懸かっているのだ。

私はバラの花束と百万ドルの笑顔を彼女にプレゼントした。応接間に通された私はテーブルの上にきびだんごを並べた。ヘソのあるレトロなきびだんごだ。(意味のわからない人は昨日の日記を読んでほしい。) 悪戯っぽい笑みを浮かべて彼女が言った。「面白い人ね。ヘソがない方がすっきりして奇麗なのに…」

私は彼女の豊かな胸元を見つめて言った。「嘘が女のアクセサリーであるように、ヘソはきびだんごの古い友人です。」そう言ってからゆっくり視線を上げた。ゆっくり上げたのは彼女の胸元に別れを告げるのが名残惜しかったからだ。そうして恐る恐る彼女の顔色を窺ったが、別に機嫌を害した様子はなかった。

それから我々は暫く雑談をした。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の第一作のラストシーンでスパロウ船長が言う決め台詞、「あの水平線を持ってこい!(日本語版翻訳では「水平線までつれてけ!」)は二人の脚本家ではなく、ジョニー・デップ自身が思いついた台詞であるとか、劇画『コブラ』の原作に間違って右腕にサイコガンが描かれた箇所が存在するとか、そんなマニアックな話で盛り上がった。

首尾よくきびだんごの売り込みに成功した私は、フェドーラ帽を目深にかぶり、邸宅を後にした。別れ際に「またお会いしたいわ」と長い髪を弄びながら彼女は言った。美女の依頼はいつでも歓迎だ。

港に続く坂道を下って行くと、ヘソのないクローンきびだんごを手にした人相の悪い親子と擦れ違った。「やっぱりきびだんごはこれよね」という声が聞こえてきた。可哀想に。君たちに明日はない。

擦れ違い様に目が合った私は、「いいですね」といって微笑んだ。何もいいことはなかった。ただそう言っただけだった…

 

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きびだんごのヘソ

岡山の老舗菓子舗つるの玉子本舗のきびだんご

きびだんごには、実はヘソのあるものとないものがある。ご存知だろうか。

売店などに行くといろんなきびだんごが揃っているが、実はその製造工程にはかなりの違いがある。

原材料を高温の釜で煮るところまでは多分同じだが、最後に丸い形にする行程が決定的に違うのだ。大きく分けると、一粒一粒絞り出すタイプのきびだんごと、一粒サイズにねじりながら刃物で切り分けて行くタイプのきびだんごに大別される。

前者は最新の機材に多いタイプで、ヘソはできない。一方、後者は原始的で、必ずといっていいほどヘソができる。

ヘソがない方が見た目が奇麗だという人もいるが、私はヘソのあるきびだんごに愛着を持っている。

もちろん時代の流れには逆らえず、やがて全てのきびだんごからヘソがなくなる日が来るであろう。どうかお手元のきびだんごをよく見てほしい。ヘソがあれば、それはレトロなきびだんごなのだ。

(※上記の写真ではわかりずらいが、右下にヘソが見える。)

 

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きびだんご補完計画

岡山では、きびだんごの人気に便乗した様々な補完計画が行われてきた。

最もささやかなものは表面にきな粉をまぶしただけというものだが、中にはチョコやらシロップやら餡やらとりあえず何でもいいから混ぜとけといった節操のないものまで様々だ。

実はわがきびだんご王国でも特務機関NERFによってきびだんご補完計画が進行している。その本部地下数百メートルに存在する秘密の倉庫には、試作段階で廃棄されたきびだんごの残骸が横たわっている。いわばきびだんごの墓場だ。

この全く新しいきびだんごは国家機密のため、これ以上説明することはできないが、開発責任者のゲンドー博士によると、遅くとも夏までには商品化されるとのこと。なんでもM.R.フィールドと呼ばれる防御壁をもつ無敵のきびだんごらしい。

実は昨日試作品を食べてみたのだが、あまりの美味さに笑いが止まらなかった。現段階ではまだ糖度と酸味のシンクロ率が低いが、夏までにはなんとかしたいと考えている。しかし、初めて試作品を見た時、これは本当にきびだんごと呼べるのだろうかと疑問に思った。それほど外見が異様だったのだ。

というわけで、きびだんご王国公認の新きびだんごにご期待下さい。

 

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