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コロンブスの卵

コロンブスの卵

最近読んだ本にスティーブ・ジョブズを大して評価しない内容のものがあった。斬新である。世の中、猫も杓子も故アップル創業者を絶賛している中でそのような本を書くとはなかなか気骨があるではないか。もっとも、ただのひねくれ者かもしれないが…

で、読んでみたところ、少々がっかりした。もう少し骨のある論理を展開しているのかと思いきや、アップルの革新的な製品の数々に「元々あった技術を組み合わせたにすぎない」といった視点から冷や水を浴びせているだけだった。内容に問題はない。全くその通りだ。アップルの製品に搭載されている技術は彼らが発明したものではない。すでに存在していた技術を寄せ集めたにすぎない。

だが、条件は他の企業にとっても同じだったのだ。すでに存在していた技術で作れるわけだから誰が作ってもよかった。ところが、誰も作れなかった。ただアップルだけが世界に先んじて作れたのはなぜだろう。

要するに、コロンブスの卵である。何かを発明したわけではないが、他人とは違う発想を得たのだ。それにケチをつけたところで、コロンブスの卵にケチをつけた者と同様に笑われるだけである。

さて、我々の周りにもコロンブスの卵はころがっていないだろうか。恐らくころがっている。新型のきびだんごのヒントも多分その辺りにあるだろう。いったん完成すると、なんだそんなものは我々にも作れるという声が聞こえてくるかもしれないが、最初に思いつくのが大変なのだ。発明ではないが、革命ではある。

とはいえ、なかなか思いつかない。もっとも、そう簡単に思いつくようなら、そもそも偉業でもなんでもないな。

 

追記: コロンブスの卵もいいが、つるの玉子もいい。

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