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きびだんご補完計画(その8)

地下倉庫への道

私の説得を受け入れたゲンドー博士が新型きびだんごの仕様変更に着手したことは、少し前の日記でも述べた。こちらは夏頃の完成を目標に急ピッチで作業を続けている。

そして、それとは別に私の親衛隊が驚くほど高価なきびだんごの開発に乗り出していることも述べた。こちらは年末から来年のバレンタインデーあたりが開発の目処となっている。

実は、これらとは別にさらなる進化を遂げたきびだんごが生まれようとしている。以前の日記でも解説したが、特務機関NERFの地下にはきびだんごの極秘倉庫がある。開発途中でボツになった数々のきびだんごが眠る墓場だ。ところが、このごろこの墓場から夜な夜な「早くきびだんごになりたい~」という恐ろしい声が聞こえてくるという報告を受けている。そうなのだ。死んだはずの開発段階のきびだんごが復活を試みているらしいのだ。

一体、ボツになったどのきびだんごがゾンビと化しているのだろうか。もしかすると、きびだんごドリンク(栄養ドリンクの一種で、これを飲むと鬼が島に出掛けるパワーが得られるというコンセプト)だろうか。あるいはロシアンきびだんご(通常のきびだんごにひとつだけ激辛きびだんごを混ぜるというコンセプト)なのか。それとも、きびだんごイヤリング(ファッション感覚で耳に取り付け、腹がへったら食べるというコンセプト)だろうか。いや、まさか、きびだんごヨーヨーかもしれない…

いやいや、分からない。とにかくボツになったきびだんごは数えきれないのだ。確かめるには地下倉庫に降りてゆくしかない。だが、あそこに行って無事に戻って来た者はまだひとりもいないという言い伝えがある。前回降りて行った者は優秀なエリート営業マンだったが、今は部屋の隅にうずくまってひとり静かに神に祈りを捧げる日々を送っている…

う~む、ミステリアスだ。しかし、きびだんごにミステリアスを求めるのもどうかと思う。もともときびだんごの暗黒面を封じるために始めたきびだんご補完計画ではないか。最後は明るくハッピーエンドといきたいものである。だが、きびだんごの原石が遠い昔、銀河の彼方からやって来たことを考えると、やはり、きびだんごに謎はつきものと言えるだろう。

というわけで、第三のきびだんごは謎だらけだ。この件に関しては、詳しいことが分かり次第レポートしよう。

とにかく、調査を続行する。

 

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