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茶の喜び

お茶

先日、ふとした機会に日本茶ソムリエの和多田喜氏と出会った。噂は耳にしていたのだが、本当に情熱のある人で、お茶に対する思いが強く伝わってきた。

彼にお茶を淹れてもらいながら、お茶の歴史や文化、種類や製法について貴重なお話を聞かせてもらい、大変感動した。残念なことに予備知識があまりなかったせいで、彼の話の全てを記憶することはかなわなかったが、また次回話してもらえるだろう。

とにかく、日本茶の世界は奥が深い。私はワインと珈琲にはそれなりにうるさいのだが、日本茶は盲点であった。子供の頃より当たり前のように飲んでいたため、特に注意を払わなかったようだ。しかし、せっかく日本に生まれたのだから、この素晴らしい日本茶をもっとよく知り、味わおうではないか。最近では海外でも日本茶の良さが少しずつ知れ渡るようになり、専門店もできたりしていると聞く。しかし、日本に住んでいる我々の方が、より多くの日本茶に接することができるわけで、はるかに恵まれている。その気になれば茶農家を訪ねることもできる。当たり前だが、日本茶に関しては、我々は至れり尽くせりの環境にあるのだ。

にもかかわらず、日本茶を心から楽しめる茶房は少ない。大抵の喫茶店は珈琲か紅茶が主なメニューだ。全国の日本茶を取り揃え、それぞれに最適な淹れ方をしてくれる日本茶の専門店は驚くほど少ない。たまに和風茶屋があっても、せいぜい抹茶があるくらいで、煎茶や番茶などを沢山取り揃えている店はまずない。どうやら、煎茶や番茶は自宅で飲むもので、わざわざお金を払ってまで喫茶店で飲むものではないと考えられているようだ。

しかし、一口に煎茶といっても、生産者によって随分味が異なる。抽出する温度も、抽出の仕方も工夫次第で全く新しい世界が開けてくる。こうした世界を垣間見ることができる専門店はやはり必要なのではないだろうか。

要するに、日本茶にしても珈琲にしても、探求すれば奥が深いし、新たな世界が待っているわけだが、一方で手っ取り早く味わいたいというニーズもある。だから、ペットボトルや茶パック、フリーズドライといった商品が重宝されるのだろう。これらが悪いとは思わないし、私もときどき利用する。ただ、飲み物としては全くの別物という認識だ。これらを混同してはならない。

確かに、お湯を沸かし、湯冷ましをして急須に注ぎ、茶葉が開くのを待つ、といった作業は時間がかかる。急いでいるときはペットボトルの方がてっとり早い。ということは、お茶を楽しむにはゆったりとした時間が必要だということを意味する。現代の日本でこれだけペットボトルが流通しているということは、それだけ我々はせわしく生きているということにならないだろうか。

ひょっとして、私が最近お茶に惹かれているのは、ゆっくりと自分に向き合う時間を欲しがっているからかもしれないな。

 

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