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後楽園

後楽園

日本三大名園のひとつ後楽園は、岡山が全国に誇る名園だ。四季折々の植物が楽しめ、丹頂鶴にもお目にかかれる。見所満載の観光施設である。特に丹頂鶴が園内に放たれる日は大勢の観光客が訪れ、カメラのシャッター音が鳴り止まない。ちなみに丹頂鶴の「丹」とは赤いという意味で、「頂」は頭のてっぺんという意味だ。つまり丹頂鶴とは頭のてっぺんが赤い鶴というわけで、釧路湿原を除けば、日本でお目にかかれるのは岡山くらいしかないはずだ。

だが、市内でタクシー運転手の方々と話をすると、近年観光客が少なくなって来ているという。この傾向はずっと続いていて歯止めがかからないらしい。う~む、このままではまずい。なんとか岡山の魅力をアピールせねば。この際、ミシュランでも高く評価されている後楽園を大々的にPRしよう。

ちなみに、つるの玉子本舗下山松壽軒(しょうじゅけん)という明治20年創業の老舗のお菓子屋さんには、なんと「後楽園」というそのものズバリのお菓子がある。なんでも「後楽園」を商標登録しているというのだからすごい。この商品は羊羹(ようかん)で、ごく普通の小豆の羊羹と白いんげんを天然色素で染めた紅羊羹の二種類からなる。いずれも一口サイズのしゃれた羊羹だ。甘すぎず、上品な味わいは日本の伝統菓子の良さを今に伝えている。

が、羊羹ではインパクトが弱い。やはり、後楽園を全国にPRするには、もっとド派手な何かが必要だ。一度口にしたら二度と忘れないような何かが。

そこで、私はキョーレツな炭酸飲料を開発することを提案する。クエン酸入りのコーラだ。その名も「コーラクエン」。何? ただのダジャレじゃねーかって? そう思ったアナタはまだまだ甘い。これには、「こりゃあ、食えん(こーら、くえん)」というもう一つのダジャレも融合されているのだ。つまり、ダブル・ダジャレだ。略してダブジャレ。ダジャレのレベルが違うのだよ。

で、これを全国の自販機で販売する。CMキャラクターは岡山が誇る悪役俳優、八名信夫がいいだろう。決め台詞は「まずい!! もう一杯!!」で決まりだな。

ところで、後楽園には庭園としての魅力の他に、様々な動物ウォッチングが楽しめるということをご存知だろうか。野生化したネコはもちろん、タヌキやイタチなども結構いる。園内には一般人立ち入り禁止区域というのがあって、どうやらそこで安全に生活しているらしい。たまに昼間でも後楽園の外周の道端や河原でタヌキの群れを見かけることもある。また、野鳥も豊富で、なんとカワセミの目撃例もある。後楽園の中にはパンダが十分生活してゆけそうな竹やぶもあれば、オランウータンがいそうなうっそうとした森林のような場所もあるし、谷川を模した清流やら池や沼、さらには田んぼや梅園まである。桜も見事だし、園内から入れる植物園には熱帯雨林コーナーがあってバナナまで植えている。と、もうなんでもありの無法地帯といってもいいパラエティ豊かな庭園なのだ。

とにかく、動物やら野鳥やら魚やら昆虫やら、生き物の観察や撮影には後楽園はもってこいの場所である。岡山市内では、都会のジャングルとまで呼ばれているのもうなずけるだろう。そういえば、後楽園に入ったきり生きて戻らなかった人も少なくないという都市伝説さえ存在したっけ。

ちなみに、私は小学生の頃、飼っていたカブトムシを100匹近く、園内に逃がしたことがある。「カブトムシの命はもうすぐ尽きるのだから、最後は逃してやりなさい」という父の助言に従って、父とふたり、夏の終わりに後楽園で逃したのである。今なら、カブトムシを大量に持って入ろうとすれば入り口でとがめられるだろうが、当時はおおらかだったのだろう。何せ、当時私は毎年夏に後楽園内で父とセミ取りをして遊んでいたくらいだ。今なら木が痛むとかなんとか言われて、捕虫網など堂々と持って入れないのではないだろうか。

さて、私が逃したカブトムシの子孫だが、果たして今でも後楽園で生活しているのだろうか。後楽園でカブトムシを見かけたという方は、是非きびだんご王国にメールしていただきたい。

 

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